マイパ族と向き合う時代へ――心のパフォーマンスが価値になる社会
日経MJに掲載された「結婚報告しない若者と『マイパ』」という記事を読んで、思わず頷いてしまった。今の若い世代が「マインドパフォーマンス(マイパ)」という新しい価値観の中で生きていることが、職場でも日常でもひしひしと感じられるからだ。「結婚しても上司に云わない」なんとも、会社や上司とのかかわりの変化なのかもしれない。
マイパ族の特徴とは?
マイパ族とは、モノや物理的な成果よりも、心の充実や精神的納得感を重視する人々のこと。従来の「コスパ(コストパフォーマンス)」や「タイパ(タイムパフォーマンス)」を重視する時代から、徐々に「心の満足」を指標とする時代へと移り変わってきているようだ。
彼らは、職場での過度な人間関係を避け、自分のペースで物事を進めたがるようだ。たとえば、結婚という人生の大きなイベントすらも、直属の上司には報告せずに会社のシステムだけで済ませてしまう。これは一見ドライにも見えますが、「無理に関係性を持ちたくない」「相手の時間を奪いたくない」という思いやりでもあるようだ。
マイパ族の価値観
マイパ族の根底にあるのは、「みんなと同じ」であることよりも「自分が納得できるかどうか」が最優先される価値観だ。他者との比較ではなく、「自分史上最高」であるか、自分の過去と比べてどれだけ満足できているかを指標に行動を選ぶそうだ。
それは消費にも反映されている。たとえば、「推し」のキャラクターグッズを大量にバッグにぶら下げる女子高生。彼女たちは自己表現として、自分の心に忠実な行動を取っている。また、「ZINE(ジン)」のような個人出版活動も、自分の世界観を形にしたいという強い欲求から生まれてきているのかもしれない。
マイパ族のモチベーション
マイパ族を動かす原動力は、「他者からの評価」ではなく「自己との対話」のようだ。彼らは「この選択は自分にとって意味があるか?」を常に問い続ける。たとえば、旅行や買い物の選択も、「SNS映え」や「みんなが行ってるから」ではなく、「自分が本当に癒される場所」「心がときめくモノ」であるかが鍵になる。
そしてその動機は非常に内省的である。村田沙耶香さんの小説『世界99』にも描かれていたように、今の若者は「自分とは何か?」という問いと日々向き合っている。「世界に言わされている言葉」「空っぽの人間ロボット」といったフレーズが、彼らの抱える実存的な不安を象徴しているようにも思える。
マイパ族とのかかわり方
では、私たちはマイパ族とどう付き合っていけばいいのだろうか。まず大切なのは、無理に「昔ながらの関係性」を押し付けないことだ。報告や共有を期待するのではなく、彼らが必要としたときに自然と話してくれる環境を整えることのほうが大切である。
そして、彼らの「自分軸」に共感し、寄り添う姿勢が求められる。「飲み会に来ない」「報告がない」ことを批判するのではなく、それが彼らにとっての自然な距離感であると受け止めるようにした方が良い。心のパフォーマンスを大切にする彼らは、無理な強要に敏感に反応するからだ。
まとめ:マイパの時代を生きる
テクノロジーが進化し、モノや情報が溢れかえる時代において、私たちはつい効率性や生産性ばかりを追いがちである。しかし、マイパ族が教えてくれるのは、「心の充実こそが、現代の本当の豊かさである」ということなのかも知れない。
これからの時代、組織や社会が個人の「心の声」にどう寄り添えるかが問われていく。マイパ族の価値観に学び、私たち自身も「何が自分にとって本当に意味のあることか」を見つめ直す時期に来ているのかもしれない。

